MIAMI SOUND MACHINE『EYES OF INNOCENCE』 [音楽(洋楽)]
表題のアルバムは1984年に発表された彼らの初めての英語でのアルバムである。(通算では8枚目のスタジオ・アルバムとなる。)また、後に「GLORIA ESTEFAN」の名前をグループ名から出すことになるが、この当時はそういうことはまだ行っていなかった。尚、チャート成績の方は全くチャートインを記録せずに終わっている。
収録曲は以下の全10曲である。『Dr. Beat』『Prisoner Of Love』『OK』『Love Me』『Orange Express』『I Need A Man』『Eyes Of Innocence』『When Someone Comes Into Your Life』『I Need Your Love』『Do You Want To Dance』。
この中からシングル・カットされたのは3曲である。1st.シングルの『Dr. Beat』はオランダで最高位3位、イギリスで最高位6位、(西)ドイツで最高位7位を記録するというように欧州ではヒットとなったが、アメリカではBollboardのダンス・チャートで17位を記録しただけであった。2ndルシングルの『Prisoner Of Love』、3rd.シングルの『I Need A Man』は、いずれもイギリスで最高位98位を記録しただけで、他の国ではチャートインしなかった。(→最高位が辛うじて100位以内というところで2曲続けて最高位が同じというのは珍記録と言っても良い記録である。(TOP 10入りをした曲になると、結構起こることですが...))
お薦め曲としては、シングル曲の『Dr. Beat』と『I Need A Man』を、それ以外からはアルバム・タイトル・ナンバーの『Eyes Of Innocence』と『When Someone Comes Into Your Life』『Do You Want To Dance』をピックアップしておく。
英語で歌うようになってブレイクするのは1985年に発表される次のアルバムとシングル『Conga』によってであって、本アルバムはブレイク前の作品ということになる。当時は殆ど紹介されなかったが、後にブレイクしてから改めて紹介されたことで、チャート成績を考えると、意外と知られたアルバムとなっている。
ラテン系の明るいサウンドは'80's中盤以降の音楽シーンでは欠かせないものとなり、それをリードしたのが彼らであるのはご存知の通りである。それだけに、本アルバムは'80(sサウンドの方向性を導いたものでもある。確かにセールスは伸びていないが、'80'sの音楽史に於いては重要なアルバムであるのは疑うところがない。(歴史を作ったアルバムというのは、バカ売れするか、ひっそりと目立たないままということが意外と多いのだが、本アルバムは目立たなかったアルバムということになる。)内容的にも充実しており、内容の高さがセールスに結びつかなかったアルバムでもある。
'80's後半ではラテンのリズムという華やかなサウンドがちょっとしたブームになるのだが、その基礎を作ったアルバムということで、しっかりと聞いておきたいアルバムの一枚である。
ケータイ刑事銭形雷24話[裏ネタ編]PART 5 [ケータイ刑事]
「銭形雷」の第24話の「キョの三宝を守れ! ~銭形雷探偵団VS怪人5面相事件」についての「裏ネタ編・増補」の4回目となる今回は、怪人さんの物語ではお馴染みの事柄から、「鰻屋」について、「ビデオテープ」について、「着替え」について、そして今回の物語ではこれが付いたと言うことで「肝吸い」について、それにはこれが入っていたということから「下剤」について記します。尚、「鰻屋」については「零・4話[裏ネタ編]PART 4」で、「ビデオテープ」につては「泪・14話(2nd.1話)[裏ネタ編]PART 4」で、「着替え」については「泪・18話(2nd.5話)[裏ネタ編]PART 4」で記したものをベースにして、それぞれ加筆しました。
また、BS-iの本放送時に記した記事は2006/6/11付けで、MBSでの放送時に記した[改訂版]は「ここをクリック」(ここにはBS-i本放送時に記した記事へのリンクもあります。)してご覧下さい。
「鰻屋」:ウナギ科の軟骨魚であるウナギを使った料理を専門に提供する飲食店のことである。(ウナギ料理のみを提供する専門店もあれば、大衆食堂のように多くのメニューを提供し、その中のメニューの1つとして鰻料理を提供している店があるのは言うまでもない。)
「鰻」は、世界でもそれほど種類は多くなく、世界でも20種類程度しかおらず、生息範囲は熱帯から温帯にかけてである。英語では「Eel」と言うが、食用に成毛のは特に「Japanese Eel」と言う。(その他、フランス語でも「Anguille du Japon」、イタリア語でも「Anguilla Japonica」、オランダ語でも「Japanse Paling」と言うように「日本」という言葉が入っている。)ドイツ語では「Aal」、中国語では「鰻魚」と言って「日本」という言葉は入っていない。また、俳句の世界では夏の季語である。
尚、日本に棲息するものはウナギとオオウナギの2種類であって、棲息しているのは主に川谷湖などの淡水領域であるが、河口や海(海水領域)にもいる。また、産卵は海で行うものとされている。(アメリカ産の鰻はバミューダー諸島のサルガッソー海、日本産は太平洋の沖合とされている。→はっきりとは解明されていないが、先日、マリアナ諸島西方の太平洋がウナギの産卵場所だと言うことが判明したニュースが流れていましたね。)
尚、「養殖鰻」は、海で生まれた鰻の稚魚を育てたものであって、孵化からの完全養殖というものではない。
鰻の成魚は50cm程度という種類のものが一般的であるが、大きくなる種類では1mから1.5m程度にまで成長する。(オオウナギは1mぐらいにまで成長する。)また、体色は暗褐色であり、腹の部分は銀白色というのが一般的であるが、生活環境によって多少の変化があって、中には背中が青緑色、灰褐色、腹が黄色のものいる。尚、基本的に鰻は夜行性である。
海で卵から孵化すると、そこで成長する。やがてある程度の大きさにまで成長すると、川を上っていくことになる。そして川の上流や湖などの淡水で7~8年生活する。やがて産卵期に入ることになると、卵を持った鰻は海で産卵をするため川を下っていき、海に行き、産卵を行う。
日本では古くから食材として利用されており、石器時代から食材として利用されていた記録がある。(但し、当時は「蒲焼」ではない。)古くは、鰻をぶつ切りにして、それを串に刺して焼き、味噌や酢を付けて食べたとされている。蒲焼という料理として醤油や味醂、酒、砂糖を使ったタレを利用するようになったのは江戸時代になってからとされている。現在、鰻料理と言うと「蒲焼」というイメージがあるが、当然ながらそれ以外の料理もある。(例えば、白焼き、う巻き、肝吸い、肝焼き、うざく、ひつまぶし、など。また、パイに入れることもある。)
「蒲焼」は鰻以外の魚(例えば、サンマ、イワシ、アナゴ、ハモ、ドジョウ、ムツゴロウ、カワヤツメ、など)を使ったものもあるが、特に種類を断らずに「蒲焼」と言うと、「鰻の蒲焼」のことを指すのが一般的となっている。
(鰻の)蒲焼をご飯の上に乗せたものとして、「鰻丼」と「鰻重」があるが、丼を使っていたら「鰻丼」、お重を使っていたら「鰻重」というのは正確ではない。(但し、おおむねはそのように理解していても特に大きな間違いではないですが...)というのは、「間蒸」と呼ばれるような、ご飯と蒲焼きが複数層重ねられたものを「鰻重」と呼ぶ地域があり、その地方では丼を使っている「鰻重」が存在するのである。(当然、お重を使うこともある。)
尚、蒲焼にする場合、鰻の処理について、関東では背開きにして蒸してから焼き、関西では腹開きにして蒸さずに焼く、という違いがあるのは有名な所である。
また、蒲焼のタレは店によって特徴があって、それを秘伝として昔から伝えているが、関東風のものと関西風のものとの違いと共に、色々と味わってみるのも楽しみとなる。→特に関東では、「関西風」ということを売りにしている鰻屋もありますし...(関西では「関東風」を売りにしている店は殆ど無いですが...)
「ビデオテープ」:ビデオ信号を記録する磁気テープの総称である。磁気記録の発展と共に進化しており、何種類かのテープが存在する。(複数のフォーマットが存在するのはオーディオ用の磁気テープと同様である。)
当初はオープンリール式のビデオテープがあり、テープ幅は2インチ、1インチ、1/2インチのものがあった。オープンリールでは何かと使い勝手が悪いため、60年代からカセット式のビデオ規格が研究開発され、'60's終盤に「Uマチック」として登場した、このテープ幅は3/4インチである。その後、1975年に登場したVX方式からのビデオテープの幅は1/2インチとなり、この幅のテープを採用したビデオ規格は様々なものがある。(各方式の間に互換性はない。)VHSとそのファミリー(VHS-C、S-VHS、D-VHSなど)、βとそのファミリー(ED-β、ベータカムなど)はこの代表的な存在である。その後、テープは幅が8mmというVideo-8、Hi-8が登場した。これらは全てアナログ信号を記録するものであったが、デジタル化に伴って、デジタル・ビデオ信号を記録するフォーマットが登場し、テープ幅が1/4インチとなったDVが登場した。また、βと同じカセットを用いたデジタル方式も登場している。
それらの中でも、VHS方式のビデオシステムが世の中に広く普及したことから、「ビデオテープ」と言うと、VHS方式のビデオテープのことを指すことも多い。(β方式は「β」、Video-8は「8ミリビデオ」と言うのが一般的で、それらのテープを「ビデオテープ」と言うことは殆ど無い。)
その後、DVDの登場と放送のデジタル化もあって、現在ではビデオテープの需要は以前よりも大きく減少し、現在のビデオ信号を記録するものはDVDが主流になっている。(が、DVDもBDに移行しつつある。(が、この移行は予想を下回るペースである。))
英語では「Videotape」、ドイツ語では「Videoband」、フランス語では「Vidéo」、イタリア語では「Videonastro」、スペイン語では「Vídeo」、中国語では「録像帯」と言う。
「着替え」:衣服を着替えること、またはそのために用意した衣服(着物)のことを指す。英語では「着替えること」を「Change one's clothes」、替えの衣服を「Extra Clothes」または「Spare Clothing」と言う。また、着替えの服のことをドイツ語では「Kleidung zum Wechseln」、フランス語では「Changement d'habit」、イタリア語では「Abito di Ricambio」、スペイン語では「Cambio de Ropa」、中国語では「換衣服」と言う。→旅行をする場合、日帰りは別であるが、着替えを持って行くのは当たり前である。が、ある程度の期間となる長期旅行では、現地で調達する場合もあるでしょうから、この単語は覚えておいた方が便利ですよ。
尚、怪人十面相(八面相以下、3面相までを含む)の劇中での着替えは、ラフな衣服から正装への着替えであるが、着替えるという行為は「ラフから正装/正装からラフ」(正装から別の正装、ラフから別のラフという場合も当然ありますが...)を含め、衣服を変えることを言う。但し、正装に着替える場合のみ「正装する」という言い方もある。
「肝吸い」:「肝吸」と表記されることもある。鰻の内臓を具として使った吸い物のことである。(すまし汁であるのが一般的である。)尚、使用される内臓は漢字から肝臓と予想されるが、実は肝臓ではなくて胃や腎臓などである。
内臓は身の部分よりも脂肪が少ないため、さっぱりとしていて、脂身のある鰻の蒲焼きとの相性が良く、好まれている。
尚、外国語では特に対応する言葉が無く、日本語をそのままローマ字表記した「Kimosui」と言うが、寿司などの日本食ほど世界には浸透していないのもまた事実である。
「下剤」:便通を良くするために使用される薬剤である。「くだし薬」「瀉下薬」「便秘薬」「緩下剤」「瀉剤」などという言い方もある。
便秘の際、便通を良くするために使われるのが一般的であるが、外科では手術を受ける患者が手術中に排出物を出すことを防ぐために、手術前の前処理として使用されている。(この場合は「下剤」とは言わずに「瀉剤(しゃざい)」と呼ばれる。)
主なものとして、植物油を使った「粘滑性下剤」と硫酸マグネシウムを使った「塩類下剤」、刺激性の成分(ひまし油、アロエ、等)を含んだ「刺激性下剤」、メチルセルロースを使った「膨張性下剤」などがある。
これを飲むと、大腸と小腸の蠕動運動が促進されることになり、腸の内部にある物をより排出しやすくする。そのため、排便したくなるのである。
尚、一部の(いかがわしい)「ダイエット食品」や「ダイエット薬」には、実は単なる下剤という場合もあるので、いかがわしい薬には十分注意しましょう。(成分チェックは不可欠であり、怪しいものが含まれているものは口にしないことである。が、いかがわしい薬では、含有成分を偽っている場合もあるだけに...)
英語では「Purgative」、ドイツ語では「Abführmittel」、フランス語では「Laxatif」、イタリア語では「Lassativo」、スペイン語では「Laxante」、中国語では「瀉薬」と言う。
アナログコンテンツをパソコンに!―ビデオテープ/レコード/カセットテープ/写真/活字のデジタル永久活用ガイド
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名曲探偵アマデウス#88 ドビュッシー「交響詩『海』」 [ドラマ]
先週は1年目に放送されたものの再放送であり、火曜朝、水曜深夜の再放送も異なるものの放送だったので、内容的にはバラエティに富んだ構成でした。久しぶりに初期作品を見ることになったが、変わっていないところと変わっている所があるのは面白い所でもありますね。
今回は2週ぶりの新作ということで、 ドビュッシーの「交響詩『海』」でした。ドビュッシーもこれで5曲目となって、ショパンとチャイコフスキーの6曲を追う2番手グループの仲間入りとなりました。(シューベルト、ベートーベン、モーツァルトと並んだ。)また、今回のゲストは鶴見辰吾ということで、NHK的なことを言うと、「天使みたい」のはるか・かなた(黒川芽以さんの二役でした。)のお父さんということで、中学生だった戸川はるかも大人になりましたね~、と言うことにもなりますね。
また、鶴見辰吾というと「3年B組金八先生」ということで、『贈る言葉』を使ったカノンさんとのコントがあったのはサービスでしたね。尚、「神奈川沖浪裏」が出てきたら、やっぱり同じ次女同士ということで、「銭形泪/海」を連想するネタも入れて欲しかったところでした。(銭形海ちゃんの口上から犯人確保の所に「神奈川沖浪裏」が出てきていましたし...)
尚、15分過ぎの所で「地震情報」が出たため、今回の放送は保存版にはしないが、約半日後の火曜朝、更に40時間後の水曜深夜に再放送が直ぐにあるということで、保存版はそちらで録画することにします。→こういうテロップが途中で出たのは久しぶりとなったが、直ぐに再放送があるというのは有り難い所です。
冒頭、事務所に何枚かの絵が置いてあって「こちらの絵はお買い得ですよ」と売り込みがされている。カノンさんは目を輝かせて聞いている。「こちらの絵はドボルザークの『新世界から』を生んだ新大陸アメリカの雄大な風景を描きました」と言い、カノンさんはうっとりとした表情をしている。「あの名曲が聞こえてきませんか」と言ってラジカセのボタンを押すと『新世界から』のメロディが流れてくる。カノンさんは「アッ、ホントだ!」と言ってその気になっている。売り子の男は「お値段はズバリ39800円」と言うが、カノンさんは「欲しいけどもうお金無いしなぁ...」という。すると「このCDも付けて2万円でいいでしょう」と、テレビショッピングのノリで言う売り子の男。これにカノンさんは「安い~」と、TVショッピングのさくらのお客さんのようになっていた。
そんな所に所長が外出から戻ってきた。カノンさんは所長に「給料の前借り、お願いしま~す」と寝込んで声で言うが、所長は冷静に状況を尋ねる。カノンさんは「知らないんですか?名曲が聞こえるクラシック名画シリーズですよ」と説明する。(→トレンドハンターの銭形泪ちゃんを思い出す「知らないんですか~」という台詞が出てきました。)売り子の男は「クラシック名画とは、名曲を生んだ風景を絵画にすると言うアートとミュージックを合体した新しい芸術なんです」と説明し、所長にも勧める。所長が「あなたは?」と尋ねると、男は久留辺五郎と名乗った。
所長は「うーん」と高を上げると、ドボルザークの「新世界から」について、彼が生活したのはアメリカの西部ではなく東海岸のニューヨークだったはず、と指摘する。更に(2枚目の絵の)ヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」については描かれているのはドナウ川ではなくライン川中流にある有名なローレライの岩の風景、と指摘した。これに久留辺は「いやぁ、参ったな~。よくご存知で」と舌を巻いた。(が、相手が名曲探偵ですからね...)→「新世界から」と「美しく青きドナウ」はファイルNo.013とNo.065で取り上げられていましたね。
所長は「まさか、響くん。もう買っちゃったって言うんじゃないだろうね」とカノンさんに言うと、「どうして分かっちゃうのかなぁ~」と笑うカノンさんは「これ、買っちゃった~」と言って、買った絵を持ってきた。で、それはドビュッシーの『交響詩 海』だった。すると所長は「この絵はお返しなさい」と言い、「折角買ったのに~」とカノンさんとの間で絵の奪い合いになる。これに久留辺は「商売の邪魔して貰ったら困る」と言って間に入った。すると所長は「この絵は『交響詩 海』を生んだ風景と言えるのでしょうか」と、胡散臭さを口にした。久留辺は色々調べて描いていると言って「これがその証拠です」と言って、楽譜を出した。それを見たカノンさんは「この絵とソックリ」と声を挙げた。
久留辺は日本の浮世絵を使ったと言い、それは葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」で、楽譜の表紙になっているのだから、その海が名曲を生んだ、主張した。しかし「そうとも限りません」と所長は言った。すると久留辺も後に引けなくなって、「私が間違っていたらお金は全額返金します。でも私の絵が正しかったらここにある絵、全部買って頂きますから」と勝負を挑んできた。すると所長は「いいでしょう」と受けて立った。→所長は勝負を受けたが、カノンさんが支払った代金を取り返すための勝負とも解釈できますね。
まずは所長が、久留辺が言ったように、ドビュッシーは浮世絵の大ファンで表紙に北斎の浮世絵を使った、と言う。すると久留辺は「日本の海を表現した」と言うが、「それはどうでしょうか」と所長は切り返し「ちゃんと曲を聞いてお描きになったのですか?」と鋭く切り返した。これに「絵は得意だがクラシックはちょっと...」と久留辺。で、この曲の海はどんな海なのか、ということで、まずは第1楽章へ。
第1楽章は「海の夜明けから真昼まで」というタイトルが付けられている、と言うと、「神奈川沖の夜明けから真昼までの様子とうことでしょう」と久留辺。しかし「どうやらそうではないようなんです」と所長は言って、楽譜の表紙と「神奈川沖浪裏」の浮世絵の違いを指摘した。(富士山と舟の有無)で、この曲は4、7抜き音階を使っていて東洋的な響きとなっているということだった。これは今までの西洋の音楽とは違うものである。ドビュッシーは1889年のパリ万博でジャワのガムラン音楽を聴き、それに衝撃を受けたと言うことが語られる。また、それ以前から日本の浮世絵にも関心を持っていた。(書斎に「神奈川沖浪裏」が飾られていた。)ということで、この絵からヒントを得たと思われる。しかし、富士山と舟が省かれているのは、新しいものを象徴するために、何処か分からないようにして抽象化して、借りたものと考えられる。
これに久留辺は「どうしてそんなことが言えるのですか?」と反論する。すると所長は、波のうねりを表現している部分があるとして、その部分の説明へ。楽譜にはチェロ16台で演奏するように指示がある部分である。これはチェロの豊かに響で波の高揚を描いていて、4つのパートに分けられたチェロで銃口に表現したのだった。更に、波の強弱も細かく指示をしていた。
久留辺は、絵も主役が波であって、うねりを描いているので、日本の海が曲を生んだ、と言う。すると所長は「こんな事実があるのです」と言って、第1楽章の元々のタイトルには或る地名が付けられていたことを語った。そのタイトルは「サンギネール諸島の美しい海」というものであった。で、カノンさんが本に書かれている説明を読み、サンギネール諸島とは地中海のコルシカ島の西に浮かぶ無人島だった。久留辺は「その海を見ながら曲を作ったと?」と尋ねる。所長は「今となっては分かりません」と言うが、重要なことは最初に考えていたタイトルから具体的な地名をあえて外したこと、と言って、描こうとしたのは具体的な海ではない、と指摘した。
ドビュッシーがこの曲の作曲を始めた1903年には、海が全く見えないフランス・ブルゴーニュ地方にいた。ドビュッシーは無数の海の思い出があると語っていて、ドビュッシーの生い立ちの説明へ。
父親が海兵隊員であったドビュッシーは船乗りになる夢を持っていた。8歳の時に南仏・カンヌに移り、底での思い出が鮮烈な印象を残した。音楽家になったが生涯海への憧れを持ち続けていた。で、心の中に蓄積された思い出の海を表現した。それが第2楽章の「波の戯れ」に見られる。
その部分は様々な楽器を使ったモチーフが次々現れては消えていくということで、成長していかないモチーフから構成されている。成長せずにい一瞬一瞬で消えていくのは波そのものであり、伝統を打ち破る革新的な音楽を生み出した。
ドビュッシーは心の海を表現したということで、「神奈川沖浪裏」ではないということで、久留辺は泣き始めた。するとカノンさんが「あっ、泣いてる。自分が間違っていてお金を返すことになったから悔しいんですね」と突っ込んだ。が久留辺は「そうじゃないです。この曲を聞いていたら故郷の海のことを思い出してしまった」と言った。で、久留辺の子供の頃の話が語られる。(毎日のように、家の近くの海岸の砂浜に絵を描いていた。)中学生の時のこと(『贈る言葉』をBGMとして、告白したことが再現される。が、彼女(ポニーテールのカノンさん))は「いいお友達でいようね」と言って去っていった。)が語られ、職を転々としている時に閃いたのがクラシック名画シリーズだった。
カノンさんは「この絵には久留辺さんの人生が懸かっているんですね」と口にする。すると所長が「だとしたら、この曲があなたの力になってくれるかも知れません」と言って、第3楽章へ。(カノンさんと所長のナイス・コンビぶりが出ていました。)
第3楽章は「風と海の対話」で、2つのモチーフを弦楽器と管楽器で描き訳、その2つのモチーフのやりとりで進んで行く。また、この曲を作曲した当時、ドビュッシーはある女性と不倫の恋に落ちて荒波に揉まれていた。そして1905年に曲が完成して初演を迎えるが、斬新過ぎて理解されず、酷評されたのだった。
久留辺は「人ごとじゃない」と言って、自分も妻に出て行かれ、絵は半年に1枚売れれば良い方で商売にならず、押し売りのように自分で売って歩いていると語った。これに「そうだったんだ...」とカノンさん。→するとカノンさんは格好の鴨だったということですね... 所長は「売れない理由は、クラシック名画シリーズが悪い訳ではありません。あなたがクラシック音楽を心から理解することが出来れば、その音楽のイメージを元に絵を描けばいいじゃないですか」と、人生相談のようなことを口にした。そして「この曲を聞いてあなたが何を感じ取ることが出来るかということです」と言った。そして「そのヒントはここにある」と言って「LA MER」というタイトルにある、と指摘した。
「LA MER」はフランス語で「海」と言う意味であるが、このタイトルには別の意味が込められていると言われている。それは、「フランス語の『母』は中に『海』を持っている」と言うことで、その説明がされる。フランス語の「母」は「LA MÈRE」であり、「E」を1つ取ったら「海(LA MER)」になる。また、ドビュッシーは「海は、我々全てにとっての母」と語っている。これはドビュッシーに取っても原風景であるが、人間にとっても海は原風景であり、結びつく。ということで、ドビュッシーは「母なる海」を表現しようとしたのかも知れない。
初演から3年語の1908年にドビュッシーは自ら指揮をして再演したが、その時はこの曲の革新性に気づいて、熱狂の中受け入れられたのだった。
所長は「何処まで大自然の本質を表現出来るのか。それに全身全霊で挑んだのがドビュッシーだった」と語った。久留辺は、「私が故郷の海に感じていたのも何でも受け止めてくれる母のような自然そのものだったかもしれません」と言った。所長は「そ海ともう一度向きあってみては如何ですか?」と助言すると「そうですね。そうすると私が何を書くべきなのか分かるかも知れません」と言って立ち上がった。そしてカノンさんに「お嬢さん。これ、貰ったお金はお返しします」と言って返金した。(笑顔でそれを受け取ったカノンさんだった。)久留辺は「絵を描いたらお詫びにプレゼントする」と言うと、カノンさんは更にニコニコになった。
で、ソファに座った久留辺は「その前に帰りの新幹線代、貸して貰えませんか」とカノンさんに言った。すると「無い無い、全然ない」とカノンさん。「今、返したお金、あるじゃないですか」と言う久留辺だったが「これは絶対ダメ」とカノンさん。すると久留辺は所長に借りようとする。所長は「こっちも持ち合わせがありませんね」と言って断った。すると久留辺は「新幹線とは言わないから、鈍行で帰りますから」と言い直した。すると所長は「この絵を売って新幹線代を調達して参ります」と言って久留辺の描いた「海」の絵を手にし、「2万円で売れるかな?」と言った。カノンさんは「売れる」と言い、所長は出掛けていったが、久留辺は「自転車で帰ろうかな?」と口にしていた。
今回は、ドラマ部分は約35分半強、曲が8分弱、ラストのオチが30秒弱という構成で、ラストのオチの所が短かったですね。が、先週の初期作品の再放送(これらはラストのオチが無くて、曲の前でオチを利かせていた。)があったたけに、、特に変な感じはしなかったです。また、曲の方はダイジェストになるのは当然です。
ラストのオチは、依頼人が故郷で描いた絵が届き、それを見ている所長とカノンさん。腕組みをしている所長は「確かに『母なる海』とは言ったが...」と戸惑い気味だった。で、「どう思う?響くん」とカノンさんに問う。カノンさんは「一人一人の『母なる海』だから、まあ、これでいいんじゃないですか」と答えた。で、所長も「まっ、いいか」と言っていた。で、依頼人の絵は、海の中に胎児が描かれていた...
ラストの絵のオチは「母なる海」と言った時点でそういう予感がしたのだが、やっぱりということで、所長と同様に「まっ、いいか」と言うことにしておきます。
途中でカノンさんと依頼人の(依頼人の)中学時代の思いでというところで、ポニーテールのカノンさんが見られたものサービスの一つであったが、鶴見辰吾の学生服というのもやってくれますね。が、「天使みたい」があるため、「親子の寸劇」と言うようにも見えました...
物語としては、今回は曲と同様につかみ所が無く、それでいて「海」を表現しているようにも感じられただけに、作は面白いと感じたのだが、物語としては今一つでしたね。だからこそ、カノンさんのサービス・カットがと言う気がしました。
来週14日はファイルNo.089のバッハ「マタイ受難曲」です。今月の新作はそこまでということなので、3年目は1年目と同様に30本と言うことになります。(2年目が29本だった。)21日と28日は別のバングもが組まれているので、BS-hiでの最後の新作と言うことになります。尚、(月刊TV誌とNHKのHPでは)14日の所の番組表で「終」マークが見られないということで、BSプレミアムに移行して4年目に突入すると思って良さそうですね。(但し、放送曜日、時間は変更になるのは確実ですが...)
また、3/10のBS-2の再放送はファイルNo.026のバッハ「無伴奏チェロ組曲」であるが、これは1年目の終盤の物語の再放送ということになる。これも久しぶりと言うことで(今回の結びに合わせて)「まあ、いいか」ということになりますね。
(3/8追記)
本日3/8朝の再放送では、ニュース関係のテロップもでることなく、無事に保存版が得られました。やはり、本放送直後に再放送があるというのは良いですね。
- アーティスト: マルティノン(ジャン),ドビュッシー,フランス国立放送局管弦楽団,フランス国立放送局合唱団,マリオン(アラン)
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2002/06/19
- メディア: CD
- アーティスト: デュトワ(シャルル),ドビュッシー,モントリオール交響楽団,ハッチンズ(ティモシー)
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2003/06/25
- メディア: CD
- アーティスト: ジュリーニ(カルロ・マリア),ラヴェル,ドビュッシー,ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
- 発売日: 2005/06/22
- メディア: CD
- アーティスト: クリヴィヌ(エマニュエル),ドビュッシー,国立リヨン管弦楽団,オランダ室内合唱団
- 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2003/07/23
- メディア: CD
- アーティスト: ラトル(サイモン),ドビュッシー,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団,パユ(エマニュエル),シュトックハウゼン=リーゲルバウアー(マジェラ)
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2005/08/03
- メディア: CD
↓「天使みたい」はDVD化されていません。原作漫画を拾っておきます。
天使みたい ―ガールフレンズ― 1 (―ガールフレンズ―) (クイーンズコミックス)
- 作者: 山下 和美
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/06/19
- メディア: コミック