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BARRY MANILOW『IF I SHOULD LOVE AGAIN』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1981年に発表されたものであり、節目となる彼の10th.アルバムである。彼の発表したアルバムの中では最も詩的だと言われているものであり、彼自身がプロデュースを行い、叙事詩的でその美しい世界を完璧なまでに築き上げている。セールスの方もまずまずであり、Billboardのチャートでは、レギュラーチャートでは最高位14位、1982年の年間アルバム・チャートでは91位にランクインしている。(発売時期の関係もあって、年間チャートは意外と低い順位に甘んじている。)全体を通して一つのポエムといった雰囲気もあり、たっぷりと聴かせてくれるアルバムである。

収録されているのは以下の全10曲である。『Old Songs』『Let's Hang On』『If I Should Love Again』『Don't Fall in Love With Me』『Break Down The Door』『Somewhere Down The Road』『No Other Love』『Fools Get Lucky』『I Haven't Changed The Room』『Let's Take All Night (To Say Goodbye)』。この中からは、『Let's Hang On』『Somewhere Down The Road』がシングル・カットされてヒットを記録しているが、前者は本アルバムの中ではちょっと雰囲気が異なる曲であり、テンポの良いポップス・ナンバーである。(企画もののベスト盤ならばともかく、オリジナル・アルバムではこういう選曲も、メリハリをつけるという意味でも必要である。)特に本アルバムはバラード・ナンバーが目白押しであるだけに、この曲は気分を変えるという意味でもいいスパイスとなっている。その他では、『Old Songs』とアルバム・タイトル・ナンバーである『If I Should Love Again』がお薦めである。

'70'sの終盤からはA.O.R.が一躍脚光を浴びることになり、有名な大ヒット曲が生まれているが、本アルバムは当時のA.O.R.に近いと言えば近い内容となっているが、それ以上に叙事詩的な世界の広がりが素晴らしく、やはり「A.O.R.」には含まれないのが本アルバムである。やはり(ロマンティックな)ボーカル・アルバムなのである。ボーカルがお好きな方は当然であるが、ちょっと心に響く曲を聴きたいという場合にお薦めのアルバムである。

尚、こういうアルバムでは、邦題がまたもの凄いものとなっている。アルバム・タイトルは「愛はあなただけ」とつけられており、「ふたりのオールド・ソング」(『Old Songs』)、「恋は移り気」(『Don't Fall in Love With Me』)、「きっと、どこかで」(『Somewhere Down The Road』)、「想い出そのまま」(『I Haven't Changed The Room』)というような邦題が付けられている。雰囲気を出そうというのは分かるが、ちょっと飛躍しすぎといった感は拭いきれない。(ということで、筆者は邦題では言わないことにしています。)上手い邦題が付けられていれば、相乗効果となり、よりその世界は深いものになるが、いまいちという邦題では、その世界観に傷を付けてしまうだけなんですが...(で、いつしか、原題をカタカナ表記にしただけ(または、一部の省略を含む)という、何も考えていない邦題が主流になってしまうという芸の無い時代に突入していくのもまた考え物ですが...)

 

If I Should Love Again

If I Should Love Again

  • アーティスト: Barry Manilow
  • 出版社/メーカー: Arista
  • 発売日: 1998/11/24
  • メディア: CD


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BOSTON『DON'T LOOK BACK』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1978年に発表された彼らの2nd.アルバムであり、衝撃のデヴュー・アルバムから2年という期間をおいて、満を持して発表されたアルバムである。待たされたこともあってか、前作同様のクオリティの高いアルバムを期待通りにリリースしてくれた。で、当然のようにヒットを記録して、本アルバムは全米No.1の座を獲得している。(通算で2週間1位に輝いた。1週1位を獲得後、「GREASE」に2週間1位を譲り、返り咲いてまた1週間。)尚、1979年のBillboard年間アルバム・チャートでは72位にランクインしているが、これは本アルバムの発売時期の関係であり、'78年の年間チャートでは期間が短すぎてTOP 100に入らず、'79年の年間チャートでもヒットの時期が前年にも分割されるため、年間チャートでは位置が低くなっている。が、チャートというのはあくまでも参考データであって、アルバムの内容に関係するものではない。

収録されているのは以下の全8曲である。『Don't Look Back』『The Journey』『It's Easy』『A Man I'll Never Be』『Feelin' Satisfied』『Party』『Used To Bad News』『Don't Be Afraid』。この中からは、大ヒットを記録した『Don't Look Back』に触れない訳にはいかない。この曲は1978年のBillbpard年間シングル・チャートでは93位であるが、レギュラー・チャートでは最高位4位を記録している。(これも、最高位の割に年間チャートの位置が低いのは発売時期の関係であり、チャートインしていた時期は'78年と'79年の年間チャートの期間にまたぐため、このような結果になった。)期待を裏切ることなく、いかにも'70'sのロック・サウンドという曲である。その他の曲も素晴らしいものばかりであり、捨て曲は無く、じっくりと彼らのサウンドに陶酔できるものとして仕上がっている。

本アルバムが発表された頃は、世界的なディスコ・サウンドのブームにより、シンセサイザーが音楽の世界に浸透し始めた時期でもある。当時、シンセを前面に出したものは「テクノ」や「ニューウェーブ」と呼ばれて新しいサウンドだと言われていたが、そういうジャンルに入らないものでもシンセサイザーの使用が着実に広がっていたが、('80'sサウンドになると、シンセはもはや必要不可欠になる。)そういうニュー・テクノロジーに頼らない彼らの音作りは広く支持されることになった。(ファンというのは意外と保守的なものです。)そのサウンドはいかにも'70'sのロックというものであるが、シンセサイザーなどのエレクトリック・サウンドに馴染んでいる耳には逆に新鮮なものとなるだろう。じっくりと聴き込んでもらいたいアルバムです。

 

Don't Look Back

Don't Look Back

  • アーティスト: Boston
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 2006/06/13
  • メディア: CD


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BILLY JOEL『COLD SPRING HARBOR』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1971に発表されたBILLYの1st.ソロ・アルバムである。それまではHASSLESなどで活動していたBILLYであるが、本アルバムによって「ピアノの吟遊詩人」と言われた彼のキャリアが始まることになる。が、本アルバムは当時は大したセールスも記録することはなかった。(後に彼がビッグになってから、再リリースされて注目されることになり、再評価され、今では高い評価を得ているアルバムである。)ピアノを中心としたサウンドは、派手さはないが、心に落ち着きを与えてくれるしっとりとしたものであり、直接心に届く優しいものである。

収録されている曲は以下の全10曲である。『She's Got A Way』『You Can Make Me Free』『Everybody Loves You Now』『Why Judy Why』『Falling Of The Rain』『Turn Around』『You Look So Good To Me』『Tomorrow Is Today』『Nocturne』『Got To Begin Again』。この中で秀逸なのは『She's Got A Way』である。ピアノのサウンドを中心としたしっとりとした曲であるが、後のアルバム「SONGS IN THE ATTIC」で再度取り上げられているが、オリジナルは本アルバムである。(やはり、名曲はいつの時代でも名曲である、ということを教えてくれている。)聴き比べるをしても良いし、それぞれをじっくりと聴き込むのも良いし、たっぷりと堪能したい所である。また、『Everybody Loves You Now』や『Turn Around』『Nocturne』などもピアノ・サウンドの良い味が出ていて、お薦めである。

尚、本アルバムでの彼の声が、後のアルバムでの声と大きく違うのは、本アルバムをレコーディングしたマスター・テープをリマスタリングする際に、通常よりもテープのスピードが速く再生されたため、声が高くなってしまった、というのは有名な話です。(後に、わざとこのようにして声を高くするという手法を用いたアーティストがいましたね...)現在だったらデジタル・レコーディングのため、こういうことはあり得ませんが、アナログ・レコーディング時代の逸話としたら面白いものです。

BILLYは、ソロになってからしばらくは芽が出ず、NYに移ってからブレイクすることになるが、ブレイクしたからこそ、ブレイク前の作品も現在では再評価されて高い評価を受けているが、こういうケースは非常に珍しいことである。(ブレイクしても、以前のアルバムは再評価されないことが多い...)特にBILLYの初期アルバムと接すると、他の多くのアーティストの初期作品についてもしっかりと聴いて、再評価を行ってもらいたい、という気になってくる。BILLYの初期アルバムはそれだけの内容があったためであるが、そういうことまで思わせてくれるBILLYのアルバムは、やはりサウンドだけでなくそれだけの内容があったということである。じっくりと聴き込んでもらいたいアルバムである。

 

Cold Spring Harbor

Cold Spring Harbor

  • アーティスト: Billy Joel
  • 出版社/メーカー: Sony Japan
  • 発売日: 1998/10/20
  • メディア: CD


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