「日本一の男」(その5) [映画(邦画)]
今回は、シリーズ第7作と第8作の2本についてです。毎作主人公の名前が変わる本シリーズであるが、前作の第6作から主人公の名前が「○等」でなくなるという変化があったが、今回の2本は主人公の名前が同じという2本である。(但し、時代設定も離れていて、別キャラである。)
シリーズ第7作「日本一の断絶男」(1969年)
作品データを記しておくと、1969年の東宝と渡辺プロの作品で、時間は94分である。監督は須川栄三、脚本は田波靖男と佐々木守の2人、撮影は原一民、美術は阿久根巌、音楽は宮川泰である。そして出演は、植木等、緑魔子、なべおさみ、高橋厚子、藤岡琢也、千秋実、人見きよし、飯田蝶子、市川和子、橋本功、小松政夫、富田仲次郎、熊倉一雄、北竜二、佐田豊、中山豊、桐野洋雄、二瓶正也、ハナ肇、藤木悠、清水元、谷啓、春川ますみ、安田伸、向井淳一郎、奥村チヨ、たちである。尚、主人公の名前は日本一郎である。
一流会社への就職を狙っている青年・丸山。彼の元に幼なじみのミミ子が転がり込んできたことから、困惑する丸山。そんな所に現れた日本一郎は、丸山の就職の世話をする。が、日当は一郎が巻き上げていき、姿を消した。丸山は一郎を追って東京へ、ミミ子も追う。東京で再会するが、一郎は女優になったミミ子をアポロ食品のCMに起用して大当たり、宣伝部長に昇進する。が、幹部社員の特訓に嫌気が差して逃げ出してしまう。続いて一郎は日本経営大学という研修会を始める。これに土地の親分・北斗組が絡んでくるが、度胸を見込まれて北斗組の客人にされる。が、関東組との出入りにかり出されると、やっぱり逃げて行く。逃げた街工場で、ひょんな事から実験を成功させ、一郎はマスコミの寵児となり、事業家として成功する。そしてお礼にもらった一坪の土地から石油が出てきて、石油会社の社長に祭り上げられる...
何をやっても成功して出世するという所はこれまでの作品と同じであるが、大きな違いは自由を求めて逃げてしまうと言う所が本作の主人公・日本一郎にはある。これまでの作品をずっと見てきたら、同じパターンにも飽きが出てくるが、こういう所は面白い所である。
シリーズ第8作「日本一のヤクザ男」(1970年)
作品データを記しておくと、1970年の東宝と渡辺プロの作品で、時間は91分である。監督は古澤憲吾、脚本は田波靖男、撮影は長谷川清、美術は小川一男である。そして出演は、植木等、司葉子、小林夕岐子、沢田研二、藤田まこと、山下洵一郎、左とん平、横山道代、野川由美子、安部徹、名和宏、多々良純、睦五郎、田崎潤、ハナ肇、清水元、人見明、たちである。尚、主人公の名前は善作と同じ日本一郎であるが、時代設定も異なっていて、別キャラである。
時は昭和初期。日本一郎は新興ヤクザの根本組への一宿一飯の恩義があることから、対立する土地の親分・前野組の組長に勝負を挑む。が、前野を逃して礼金だけせしめて逃げるつもりでいた。が、前野が死んだと知り、慌てる。そんな所に召集令状が届くが、兵隊になるのなら懲役の方が良いと考えた一郎は自首をして監獄へ。時が流れ出所した一郎がその土地に戻ってくるが、前野組を引き継いだ前野の妻・登志子が仕切る前野組と根本組の対立は変わっていなかった。根本の客分になった一郎は、建設利権を前野組の手になるように策を巡らせるが...
本作は、任侠映画のパロディという作品となっていて、これまでのシリーズ作品とは一線を画すものとなっている。が、主人公のキャラはこれまでの作品と基本的に変わらない。アイデアは悪くないのだが、パロディ作品と言っても「任侠」の世界では本シリーズの持っている良い味が今ひとつ出ていないように感じる。シリーズ作品も長くなると、毛色の違う作品も生まれるというのは良いことであるが、筆者にとったらハズレといった感じの1本でした。
※「日本一のヤクザ男」の方はソフトが無い...
「TALK RADIO」 [映画(洋画)]
表題の作品は1988年の映画「トーク・レディオ」である。議論を呼んだ「ショック・ラジオ」を舞台にして、アメリカに潜む悩みや歪みを描いた作品で、メディアのあり方に一石を投じた作品である。劇中に登場する毒舌ぶりが面白い作品である。
作品データを記しておくと、時間は109分、原作はエリック・ボゴシアンとタッド・サヴィナーの2人、監督はオリヴァー・ストーン、エリック・ボゴシアンが脚色し、オリヴァー・ストーンが脚本を書いている。撮影はロバート・リチャードソン、音楽はスチュワート・コープランドである。そして出演は、エリック・ボゴシアン、エレン・グリーン、アレック・ボールドウィン、レスリー・ホープ、ジョン・C・マッギンレー、ジョン・パンコウ、マイケル・ウィンコット、たちである。また、本作はベルリン映画祭で銀熊賞を獲得している。
テキサス州ダラスの地方ラジオ局KGABの人気番組「ナイトトーク」のDJ・バリー・シャンプレーン。この番組は、あらゆる階層の人々からかかってくる電話のさまざまな悩みに対して毒舌で語り、社会の矛盾に対して怒りを喋りまくっていた。バリーの語りは全て真実であり、毒舌ぶりは聴取者を逆なですることもあり、人気もあるが、憎む者もいて、脅迫されたり、嫌がらせも数知れなかった。そんな中、「ナイトトーク」が全国放送に格上げされることになる。全国放送の初回の日、バリーは別れた妻・エレンをスタジオに呼んだ。が、局の重役から全国ネット放送の延期を告げられた。その夜の番組は混乱したものになった。エレンの優しい気遣いにバリーはののしりで受けてしまい、エレンは去っていく。バリーは自分が踊らされていることにも気づくが、放送の方はますます過激になっていく。そして全国放送が正式に決まるが、放送局を出たバリーは何者かによって射殺されてしまった...
DJブースという狭い空間で毒をまき散らすバリー。その毒舌ぶりがエスカレートしていくことになるが、メディアの怖さを感じる所でもある。毒舌の内容に関しては、うんざりする方もいるであろうが、'80'sの時代に将来のメディアの姿を暗示させているところは、これはこれで凄い所でもある。また、SFXだ、CGだというテクノロジーの固まりという映画が多い中、しゃべりを見せるという所にちょっと新鮮さも感じる所である。一度は見てもらいたい作品である。
尚、毒がエスカレートしていくというところは筆者も同じであり、バリーの気持ちも良く分かる。そのうち筆者も暗殺される???(いや、ラジオ放送はしていませんが...)
「キ・ニ・ナ・ル!」(2/14)+「iしたい。」+深夜「アニメ枠」 [ケータイ刑事]
2月も真ん中になったということで、ぼちぼち4月からの番組の製作発表が行われる時期である。(7/7スタートだった「銭形海」もその1.5ヶ月前の5/15に製作発表が行われている。)ということで、「銭形海」の後番組の製作発表が今週には行われると思っていたのですが、14日までではまだのようですね。(こういうことを書いたら、15日にでも発表されるかも...?)→普通に考えたら「恋日・4th.」でしょうが、BS-iの新人脚本賞の募集作品のメインタイトルが「東京少女」となっていることと、その合格発表の時期を考慮して、ドラマ化するスケジュールまで考えると、7月からの1クールか、10月からの1クールではないかという気がします。そうなると、「恋日・4th.」の2クールが一番妥当であるが、ひょっとして「恋日・ニュータイプ・2nd.」、または岡野さんを相棒にした「銭形零・3rd.」を1クールというのもあり得るかも???(願望が強いですけど...)しかし、そうなると7代目はやっぱり2009年1月ということになりそうで...(このスケジュールだと、山下リオだったら、4クール続かないと撮影期間中に誕生日が来ないが、水沢エレナだと2クールで撮影期間中に誕生日が来ることになるが、誕生日に撮影があるというのも一つのポイントになっているような気もするんですけど...)
それでは今回の「キ・ニ・ナ・ル!」へ。今回はCGクリエーターの曽利文彦の仕事場で、という内容でした。これは2/16にBS-iで放送される「2008年宇宙の旅」関係ということですね。(1月と3月にも放送がありました/あります。響鬼さんとマヤヤが出ています。)
また、「キ・ニ・ナ・ルもの」として紹介されたのは、公開中の「東京少年」と、23日公開の「東京少女」が取り上げられました。(「東京少年」の方が「公開中」となっているところがポイントでした。)尚、時間は55秒です。
「キ・ニ・ナ・ル!」終了から次の「iしたい。」の間に「銭形海」の次回予告の30秒バージョン(正確には27秒)が流れ、続く「iしたい。」は「一味違う個性豊かなドラマ編」だったので、「銭形海」の次回予告が立て続けに2度流れることになりました。それに続いては、「うさぎたちのもちつき」「探偵事務所5」「真希ちゃん&夏帆ポン主演ドラマ」という組み合わせで、「銭形舞/零」(但し、内容は先週と同じ)という顔ぶれでした。→暫くはこの顔ぶれと言うことなんでしょうね。尚、「舞/零」ですが、2/17は「舞・5話」ですが、2/24は「零」の何話なのかはまだ分かりません。(何がセレクトされるのでしょうか?)
そういえば、先週から「iしたい。」に新井アナが出てくるようになりましたね。
続いて、深夜のアニメ枠のCMへ。まずは「逮捕FS」の始まる前に、30秒版の「東京少女・セピア編」の予告(6作セットのこれまでにも流れたもの)と、「ケータイ刑事THE MOVIE 2」の15秒版のDVDの宣伝がありました。
「逮捕FS」の本編の間のCMは、いつもの顔ぶれで、この作品のDVDの宣伝とお馴染みのDVDの宣伝、BS-iの番組の宣伝でした。で、「銭形海」の次回予告は27秒版がA/Bパート間のCMの所に流れました。
「CLANNAD」も、基本的にいつもの通りで、この作品のDVDを中心とした各種DVDの宣伝とBS-iの番組の番宣でした。で、「東京少女・セピア編」の次回予告(「新聞少女」)の27秒版が次回予告の前に、そして次回予告の後には「銭形海」の27秒版の次回予告が流れました。
それにしても、真希ちゃん出演作の時は「恋日・電車」の時もそうだったが、「舞・5話」の予告も流れないんですね。(夏帆ポンの「恋日・僕の森」は流れたのに、どうしてなんでしょうか?)
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「ケータイ刑事」と「007」の驚くべき類似点(その38) [ケータイ刑事]
今回のテーマは「結婚」である。が、普通の結婚ではない所が「ケータイ刑事」であり、そして「007」である。で、登場して頂くのは「ケータイ刑事」からは「愛・17話」の千家綾子、「007」からは「007は二度死ぬ」のキッシー鈴木、「女王陛下の007」のテレサである。尚、この顔ぶれで正式に結婚したのはテレサ一人であるということから、テーマは「結婚」であっても普通ではないということが直ぐにお分かり頂けるであろう。
「ケータイ刑事」:千家綾子。「愛・17話」に登場した女性で、五代さんが見合いをした相手である。よって、正しい「結婚」ということにはならない。(あくまでも「見合い」が上手くいった場合に、将来「結婚」に繋がる可能性がある、というだけである。)五代さんが見合いをしている所を愛ちゃんが隠れてチェックをしていた所が面白いところであり、下手をすれば五代さんは第七の犠牲者になっていたかもしれません。(これを考えたら、愛ちゃんが事件を解決したことで五代さんは助けられた、と言うことも出来る。)
というのは、千家綾子がこれまでに見合いをした男たち6人は、全員が死んでいて、「見合いをした相手が必ず死んでしまう」という悩みを五代さんに打ち明けた。が、これらは全て、金目当ての綾子が見合いをした相手に、自分を保険金の受取人として生命保険に入れ、そして殺していた。(当然、綾子には保険金が入るということになる。これも、「結婚詐欺」の一種と言って良いでしょうね。)しかも、五代さんとの見合いの席で、6人目の見合い相手を殺害していた。五代さんの見合いをチェックしていた愛ちゃんが、その事件を解明してご用ということになった。五代さんだったら欺せたのに、愛ちゃんを欺すことが出来ず、また、愛ちゃんが五代さんの見合いを観察していたという計算になかったことがあったため、これまでの殺人も明かされることになった。
「007」:キッシー鈴木。シリーズ第5作「007は二度死ぬ」のボンドガールである。(日本が舞台となった作品であり、日本人である。)日本の秘密情報部に籍を置く女性エージェントで、それを率いるタイガー田中の配下にいる。タイガーが怪しいと睨んだ九州の島を調べるために、ボンドを日本人に変装させ、キッシーと偽装結婚させ、漁師の夫婦を装って、敵の秘密基地を調べることになった。任務遂行のために(偽装)夫婦となったが、男女の仲になるのは任務完了後であった。
物語の後半から登場するということもあり、更に前半はもう一人のボンドガール・アキが大活躍したこともあって、ボンドガールとしたらちょっと影が薄い存在であるが、ボンドと共に敵の基地に突入するなど、メインのボンドガールとして活躍する所はしっかりと用意されている。(でも、途中で死んじゃうが、アキの方が目立っていました...)
「007」:テレサ。シリーズ第6作「女王陛下の007」に登場したボンドガールであり、ボンドと正式に結婚した女性である。が、結婚式を終えてボンドと共に新婚旅行に出発すると、ブロフェルドに襲撃されて、ブロフェルドの部下であるイルマ・ブントが射ったマシンガンの弾を受けて死亡した。ボンドの妻になって僅か数時間後のことであった。尚、シリーズ第12作「ユア・アイズ・オンリー」の冒頭で、ボンドはテレサの墓参りをしている。
テレサは、表向きはドラコ建設という会社の社長であり、実はユニオン・コルスという恐ろしい組織の首領であるマルク=アンジュ・ドラコの一人娘であり、かなり無謀なことをする娘でもあった。ボンドとの出会いは、テレサが運転する車がボンドの車を追い抜いた所から始まる。その直後、入水自殺をしようとするが、ボンドが助ける。で、ボンドはテレサ惹かれる。また、娘を案じるドラコはボンドにテレサと結婚するように頼み、恋に落ちる。やがてドラコの情報からブロフェルドの行方を突き止めたボンド。ピンチのボンドを助けたテレサ。ということで、後半はボンドガールというよりも、ラブ・ストーリーのヒロインになっている。
ところで、映画と原作小説では、「007は二度死ぬ」と「女王陛下の007」は対照的な作品でもある。原作小説では「女王陛下の007」が先で、その次に「007は二度死ぬ」が発表されたが、映画ではこの順番が逆になり、「007は二度死ぬ」の次が「女王陛下の007」である。また、映画「女王陛下の007」は原作に忠実に展開するが、「007は二度死ぬ」は大きくアレンジされている。「007は二度死ぬ」の物語は、原作小説では、「女王陛下の007」(前作になります)で新妻・テレサを殺されたことで、ボンドは酒浸りの日々となり、それを見かねたMがボンドの気力を取り戻させるために日本に派遣した。また、ブロフェルドとの戦いでボンドは頭に重傷を負い、記憶を失い、ボンドを愛するキッシーと日本で暮らし始める。
今回取り上げた3人に共通するところは「結婚」に繋がるところがある、というだけである。ということで、正式に結婚したテレサは別として(ボンドと正式に「結婚」したということで、テーマが「結婚」だったら、無視することは出来ませんから...)、千家綾子とキッシー鈴木について類似点を考えることにする。すると、この2人の間には、やはり共通点が出てくる。(だからこそ「驚くべき類似点」ということになる。)それは「偽装結婚」である。つまり、「結婚」を目的のために使おうとした、ということである。綾子はお金を得るために、キッシーは任務を遂行するために「結婚」を使った。(キッシーは文金高島田で、形の上では神社で式を挙げている。)
しかし、千家綾子は、保険金殺人という悪の道に走り、キッシーはブロフェルドの秘密基地を探してそれを潰す正義の道を進んで行く、ということで、真逆の部分があるというのも、また面白い所である。
次回も「ボンドガールとゲストキャラにおける類似点」というテーマが続きます。未登場のボンドガールもまだいますし...
男と女のラブゲーム―結婚詐欺の手だれの面々 男が女を女が男を見事にだました物語
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