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「WOLFEN」 [映画(洋画)]

表題の作品は1981年の映画「ウルフェン」である。本作が製作された当時は、「ハウリング」と「狼男アメリカン」と共に、「狼」を題材にした映画が何本か制作されたということで、ちょっとした「狼」がブームになっていた時期であった。本作は狼男でもなく、人狼でもなく、狼そのものを描いたミステリー仕立ての作品である。

作品データを記しておくと、時間は110分、原作はホイットリー・ストリーバー、監督はマイケル・ウォドレー、脚本はデヴィッド・アイアーとマイケル・ウォドレーの2人、撮影はジェリー・フィッシャー、音楽はジェームズ・ホーナーである。そして出演は、アルバート・フィニー、ダイアン・ヴェノーラ、トム・ヌーナン、エドワード・ジェームズ・オルモス、グレゴリー・ハインズ、ディック・オニール、デール・バーティ、ピーター・マイケル・ゴーツ、たちである。

ニューヨーク。バッテリー・パークで大富豪・クリストファー夫妻が変死体となって発見される。ニューヨーク市警のウィルソン刑事がこの事件を担当することになる。そして、女性心理学者・レベッカとチームを組んで捜査に当たることになる。レベッカはテロリスト専門ということで、その筋を調査するが何も得られない、また、アメリカ各地から失踪事件が相次ぎ、バラバラ死体が次々と発見される。そんな中、ウィルソンとレベッカは、クリストファーの祖父のオランダ人で、マンハッタンの近代化を計ったピーターという男が17世紀の中頃に突然姿を消したということを突き止めた。また、クリストファーの妻の死体から狼の毛が発見されたこと、事件に関係したすべての地名がオランダ語に由来していることが分かる。そして、かつて虐殺された狼の生き残りで、人間をはるかに凌ぐ頭脳、視力、聴覚、嗅覚を持つ「狼を超えた狼・ウルフェン」の存在を知る。そんな中、ウルフェンの姿を目撃したウィルソンは、クリストファーのペントハウスで、一族の繁栄を物語っている品々を目にした。底を離れるとウルフェンが待ち構えていて...

当時としては珍しい「ソラリゼーション」も使った本作は凝った絵作りが行われたが、物語の方が眠いもので、しかもクライマックスが意外とあっさりした内容で終わってしまったことで、消化不良という形になってしまった。メッセージ性を持たせていること、撮影技法に凝ったこと、一癖も二癖もあるキャスト、ということで、意気込みは十二分に感じるのだが、これらの全てが空回りに終わってしまい、展開も、しつこいほどの残酷描写と、華のない捜査過程をじっくりと描いていたら、途中で眠ってしまうのは当たり前である。

本作が語ろうとしているメッセージは分かるのだが、選んだ題材が悪かったということですかね。散々な結果になってしまった作品でした。(ある程度の数になる作品を見ていたら、こういう作品に当たることもあります...)

 

↓DVDではなくビデオです。

ウルフェン

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: VHS

Wolfen

こちらは輸入盤です

Wolfen

  • 出版社/メーカー: Warner Home Video
  • メディア: VHS


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「昭和残侠伝」(その7) [映画(邦画)]

懐かしの邦画ヒーローシリーズの第28弾として記してきた東映の任侠映画シリーズ「昭和残侠伝」も今回が最後となります。残っている1971年のシリーズ第8作、そしてシリーズ最終作となった1972年の第9作についてです。

シリーズ第8作昭和残侠伝 吼えろ唐獅子」(1971年)
作品データを記しておくと、1971年の東映東京の作品で、時間は97分、監督は佐伯清、脚本は村尾昭、撮影は星島一郎、美術は藤田博、音楽は木下忠司である。そして出演は、高倉健、池部良、鶴田浩二、松方弘樹、松原智恵子、光川環世、由利徹、葉山良二、諸角啓二郎、植田灯孝、小林稔侍、大下哲也、今井健二、佐川二郎、須賀良、青木卓司、田中計、山内修、団巌、山岡哲也、滝島孝二、三浦忍、藤山浩二、中田博久、清水元、たちである。

出所した花田秀次郎は、前橋の黒田一家に草鞋を脱ぎ、風間文三という男を追って長野へと向かう。文三は対立する一家の親分を殺して旅に出されたのだったが、黒田の妻・おみのが文三の後を追って逃げたためだった。秀次郎は小諸で文三を見つけ出すが、おみのは金沢にいる文三の兄・重吉の所に向かった後だった。で、金沢に向かった秀次郎。金沢は、三州一家と稲葉一家が工事の入札を巡って対立していた。秀次郎は稲葉一家に草鞋を脱ぐ。一方、文三は、おみのが病気になって、三州一家の世話になっていることを知る。秀次郎は、おみのを引き取りに三州一家に行くが、そこでかつての恋人・加代が三州一家のボスの妻になっていることを知って驚く。やがて、黒田が金沢に乗り込んできて、稲葉一家と手を結んで三州一家を潰そうとする。文三はおみのを連れ出すが黒田に見つかり、捕らえられ、おみのも危篤になる。秀次郎は何とか2人を一緒にしてやりたくて黒田に頼み、三州を斬ることを条件に秀次郎の願いを受けた黒田。三州を切った秀次郎だったが、文三とおみのが殺されたことを知った秀次郎は、風間重吉と共に稲葉一家に殴り込んだ...

今ひとつ、物語にメリハリが欲しい所で、普通の範疇の作品に纏まってしまったのが残念な所でした。

シリーズ第9作(最終作)「昭和残侠伝 破れ傘」(1972年)
作品データを記しておくと、1972年の東映東京の作品で、時間は93分、監督は佐伯清、脚本は村尾昭、撮影は飯村雅彦、美術は北川弘、音楽は木下忠司である。そして出演は、高倉健、安藤昇、北島三郎、池部良、星由里子、鶴田浩二、山本麟一、待田京介、北十学、山城新伍、檀ふみ、堀越光恵、鮎川いづみ、水島道太郎、中田博久、近藤宏、大下哲夫、沼田曜一、今井健二、太古八郎、八名信夫、藤山浩二、久地明、清水照男、植田灯孝、北川恵一、土山登志幸、諸角啓二郎、久保一、小林稔侍、山下勝也、三浦忍、たちである。尚、本作は檀ふみのスクリーン・デビュー作である。

久しぶりに出所した花田秀次郎は、郡山にいる兄弟分・寺津力松を訪ね、対立する天神浜一家との抗争で、寺津の助立ちとして天神浜一家へ斬り込む秀次郎。それから4年、会津若松の親分・鬼首鉄五郎の妹・おしまを妻にした寺津だったが、鬼首は寺津を利用して東北全体を制圧することを狙っていた。鬼首は手段を選ばず、寺津一家の縄張りが荒らされ、天神浜一家の若親分が殺される。元代貸しだった重吉は組の危機に天神浜一家に戻る。こうして寺津一家と天神浜一家の抗争は再び激しくなり、寺津が襲われる。鬼首はこの落とし前を秀次郎に命じ、秀次郎と重吉が対決することになる。が、そこに秀次郎の初恋の女であり重吉の妻のお栄が飛び込んで来て、重吉の刃がお栄を貫いてしまった。また、鬼首は寺津一家に絶縁状をつきつけると皆殺しにしていた。秀次郎と重吉は雪の降る中、鬼首たちの所に殴り込み...

シリーズの最後を飾るためなのか、クライマックスの殴り込みに向かう所が、雪の舞う中という凝った演出になっていて、映像的には綺麗なものになり、秀逸となっているものの、ただそれだけという感じのこぢんまりとした作品でした。

一部作品は名前が違うが、殆どの作品で共通する主人公・花田秀次郎と、毎回設定が異なる風間重吉の毎度のパターン(一緒に敵に殴り込む)ということにも飽きてきたということが自分でも分かってしまい、9作にもなると限界だったという所です。このように一つの定まったパターンがあるというのは、安心してみることが出来るのだが、逆に新鮮みが無くなりマンネリに陥りやすいという危険と背中合わせである。それを色々と工夫してマンネリにならないように務めているが、今回の2作品は、その悪い方が出ていて、物語としてもスケールが小さくなってしまったのが残念でした。

とは言っても、ここまで9作も製作されてきたことの方が凄いと言うことでしょうか。'60'sであれば、シリーズ作品となると、年に2、3本は当たり前のように作られていたが、本シリーズはその製作ペースを落としたことによって、内容の方を練り上げたが、本数が多くなってくるとやはりということになっちゃいました。全作品をとは言わないが、第1作と第4作~第7作の会わせて5本を抑えておけばよろしいかと...

 

昭和残侠伝 吼えろ唐獅子

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昭和残侠伝 破れ傘

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昭和残侠伝 吼えろ唐獅子

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ケータイ刑事銭形泪7話[裏ネタ編]PART 2 [ケータイ刑事]

今回の「銭形泪[裏ネタ編]」は1st.7話の「時に愛は命を奪う ~恋愛小説殺人事件」の2回目です。今回は、この事件の被害者の名前が「芥川三十五」ということで、この名前は「芥川龍之介」と「直木三十五」という作家の名前をいじったものなので、「芥川龍之介」についてと「直木三十五」について記すことにする。また、先日記した「銭形海20話(2nd.7話)[裏ネタ編]」で「芥川賞」について記したばかりであるが、参考のためにそれを再度記しておきます。(少しだけ加筆しました。)→「銭形海20話(2nd.7話)[裏ネタ編]」は「ここをクリック」して下さい。

尚、約2年半前のBS-iでの再放送時に記したこの物語の本編について記した記事は「ここをクリック」してご覧下さい。

芥川龍之介」:大正時代の小説家であり、1892年に東京市京橋区で生まれ、1927年に35歳で服毒自殺して没した。代表作としては「羅生門」「鼻」「芋粥」「地獄変」「河童」などがある。

東大(当時は東京帝国大学)在学中の1914年に、菊池寛や久米正雄たちと共に同人誌「新思潮」(第3次)を刊行し、処女小説「老年」を発表する。翌年には彼の代表作の1つになる「羅生門」を発表。その後、夏目漱石の門下に入る。1916年に第4次「新思潮」に掲載した「鼻」が漱石に高く評価される。卒業後、教職に就くが、1918年に辞職、大阪毎日新聞に入社。寄稿すれば良いということで、ここから創作活動に専念して小説家として活動が本格化する。

彼の小説は短編が多いのが特徴である。初期作品は歴史物やキリシタン物が有名である。中期作品はあまり評価されていないが、「地獄変」がこの時期の代表作である。晩年(と言っても30代です。)の作品は制止に関する作品が多くなった。(初期、中期、晩年と3つに分けても、彼が小説家として活躍したのは10年ちょっとである。)

彼の死後8年後の1935年、友人であった菊池寛がその業績をたたえて「芥川龍之介賞」を創設している。(直木賞と同時に創設した。)

直木三十五」:大正から昭和初期の小説家であり、脚本家、映画監督としても活躍した。1891年大阪市生まれ、1934年、43歳で没した。代表作として「由比根元大殺記」「南国太平記」「楠木正成」などがある。

名前の「三十五」というのは年齢を元にしたものであり、最初は31歳の時に「直木三十一」の名前で執筆活動を始めた。誕生日がきて年齢が1つふえる度に「三十二」「三十三」と名前を変え、34歳の時に「三十四」に改めたが、編集者がこれを「三十五」と直してしまい、それを訂正することを行わず、以後はそのまま「三十五」の名前を使った。

彼は映画の世界にも関わっていて、無声映画で脚本と監督を務めている。その時は33歳だったので、「直木三十三」名義で「恩讐の彼方に」「室町御所」「生玉心中」などの脚本を書いている。また、1927年の映画「一寸法師」では初めての監督を務めている。(この時は「直木三十五」名義になっている。)監督を務めたのはこの1本であり、脚本は全部で9本である。また、これらの作品はいずれもがサイレント映画である。

彼の死んだ翌年の1935年、友人であり、当時は文藝春秋社にいた菊池寛が、彼の業績をたたえて、大衆文学の新人に贈る「直木三十五賞」を創設した。(芥川賞と一緒に。)

芥川賞」:正しくは「芥川龍之介賞」と言うが、通称である「芥川賞」で十分通じる。(正式名称がこっただと思っている人の方が多いのではないかと...???)文学賞の1つであり、純文学の新人に与えられるものである。(対象は、新人作家による発表済みの短編・中編作品である。)選考を行うのは文藝春秋社内にある日本文学振興会である。

1935年、芥川龍之介の業績を記念して、友人の菊池寛が創設したものである。(直木賞(正式名称は「直木三十五賞」)と共に創設された。)この賞は年に2回発表される。受賞者には懐中時計と100万円が贈られ、受賞作品は「文藝春秋」に掲載されることになっている。1945年から一時中断したが、1949年に復活して現在に至っている。

この賞は、「新人」をどこまで言うのか、「短編・中編」とはどの程度の長さのものなのか、ということが度々議論されることがある。また、大衆文学の賞である「直木賞」との境界線も議論に上ることがある。(一応、それらしい基準はあるようですが...)

やはり、受賞者の顔ぶれは蒼々たるものである。(当然、最終候補に残ったものの、落選者というのも凄い顔ぶれである。)

最近では、2004年の綿矢りさの『蹴りたい背中』が最年少受賞記録を更新したということで話題になったのが記憶に新しい所である。また、本年2008年の上期は楊逸の「時が滲む朝」が受賞した。

 

ケータイ刑事 銭形泪 DVD-BOX I

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  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD

↓いくつか代表作を...

芥川龍之介全集〈1〉 (ちくま文庫)

芥川龍之介全集〈1〉 (ちくま文庫)

  • 作者: 芥川 龍之介
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1986/09
  • メディア: 文庫

芥川龍之介全集 全8巻セット

芥川龍之介全集 全8巻セット

  • 作者: 芥川 龍之介
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1994/03
  • メディア: 文庫

芥川龍之介短篇集

芥川龍之介短篇集

  • 作者: 芥川 龍之介
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 単行本

直木三十五作品集

  • 作者: 直木 三十五
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1989/02
  • メディア: 単行本

南国太平記 (1979年) (角川文庫)

  • 作者: 直木 三十五
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1979/07
  • メディア: 文庫

 

↓現時点で、最新の芥川賞受賞作品

時が滲む朝

時が滲む朝

  • 作者: 楊 逸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 単行本


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