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EDDY GRANT『KILLER ON THE RAMPAGE』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1983年に発表されたものである。本アルバムのジャンルは「エレ・ポップ」であり「レゲエ」である。'80'sに入り、シンセサイザーを使ったサウンドが当たり前のようになったが、そんな中で、「レゲエ」に注目が集まり、いくつかのグループがレゲエを取り入れてヒットを飛ばすことになったが、彼はそれをポップな路線に持ってきて、スマッシュ・ヒットを放つことになった。で、ここには「レゲエ」であるが「レゲエ」ではない新しい「ポップス」を生み出すことになった。で、UB40、MUSICAL YOUTHなどがレゲエのヒット曲を放つことに繋がり、更には'80's中盤から後半にわき起こる「ワールド・ミュージック」の基礎となった。「レゲエ」と言えばゆっくりとした穏やかなリズムというイメージがあるが、ここにあるはそのレゲエをベースとしたポップ・ミュージックなので、「レゲエ」ということを意識しないで楽しむことが出来る。また、本アルバムはは、1983年のBilolboard年間アルバム・チャートでは51位、レギュラー・チャートでは最高位10位を記録している。(考えてみれば、本アルバムも「黄金の1983年」のアルバムである。この年に発表されたものは本当にバラエティに富んでいて面白いものである。)

まずは、大ヒットした『Electric Avenue』でスタートする。この曲は1983年のBillboard年間シングル・チャートの22位にランクインしており、またレギュラー・チャートでは最高位2位を記録している。シンセサイザーを巧みに使ったサウンドであり、レゲエがベースにあるとはいうものの、それを感じさせないテンポの良さがある一曲である。(一発屋ではないものの、この曲が全てといった感じもしないではないのだが...)続いては、やはり「レゲエ」をベースとした『I Don't Wanna Dance』が心地よく届けられる。また、しっかりとした歌唱力があり、彼のボーカルの方も落ち着いて聴くことが出来る。以下、『It's All In You』『War Party』が続き、やはり「レゲエ」ではあるが「レゲエ」ではない不思議なポップな世界が続く。

続く『Funky Rock 'N' Roll』はタイトルにあるようにファンキーな要素もあり、これまた楽しい一曲である。更に『Too Young To Fall』『Latin Love Affair』『Another Revolutionary』と続き、いつしか穏やかな気持ちになっている。この辺りはベースとなっている「レゲエ」がもっているほんわかとしたメロディ・ラインが与えてくれるのであろうか(?)更に曲の方は続き、『Drop Baby Drop』からアルバム・タイトル・ナンバーである『Killer On The Rampage』がラストを飾ってくれるが、聴き応えのある一曲であり、楽しい雰囲気で締めくくってくれる。

本アルバムのサウンドは、「レゲエ」であって「レゲエ」ではなく、やはり「ポップス」と言った方がいい。(本アルバム発表時にはまだこの言葉は完全に確立してはいなかったが「エレ・ポップ」と言ってもいい。)一応、ベースにあるのが「レゲエ」ではあるが、本格的なレゲエ・サウンドとは全く別物である。「レゲエ」のテイストのする楽しい「ポップス」と考えて、そういう楽しいサウンドに浸るというのもまた楽しいものである。これは、宗教の話で「無宗教」と言われることがあるが、本アルバムはそれが当てはまっていて、「レゲエ」の雰囲気があるものの、レゲエの本場であるカリブの持つ雰囲気・「カリビアン・テイスト」を感じさせない「無・カリビアン」レゲエ風の「ポップ」なアルバムである、と言った所でしょうか。何かの機会に一度は耳にしてもらいたいアルバムである。(但し、本格的な「レゲエ」がお好きな方は回避された方がいいかも...)

 

Killer on the Rampage

Killer on the Rampage

  • アーティスト: Eddy Grant
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 2000/11/07
  • メディア: CD


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EARTH WIND & FIRE『I AM』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1979年に発表されたものであり、彼らの代表作のひとつである。邦題は「黙示録」というタイトルが付けられていて、日本でもヒットを記録した。当時は、世界的なディスコ・ブームの真っ直中であり、ノリの良い曲がそのディスコ・ブームの波に乗って大ヒットを記録した。(1979年のBillboard年間アルバム・チャートでは65位、レギュラー・チャートでは最高位3位を記録している。)しかし、本アルバムは「ディスコ・サウンド」ではなく、コンテンポラリー・ミュージックであり、当時のブームに乗っかって製作されたものではない。本アルバムからは、そのノリ、テンポの良さが最高の『Boogie Wonderland』と、美しすぎるメロディの『After The Love Has Gone』が大ヒットを記録していて、彼らの代表曲に数えられている。また、本アルバムは、ブラック・ミュージックとポップスが見事に融合した新しいサウンドを確立したアルバムでもあり、とても親しみやすい楽曲が並んでいる。また、これは彼らのアルバムに共通していることであるが、ジャケットの古代エジプトのイラストが、スケールの大きい楽曲と融合して、大きな夢の世界に運んでくれるのだが、CDの小さなサイズではそれも起こりにくくて...

まずは『In The Stone』でスタートとなる。スケールの大きな一曲であり、直ぐに彼らの壮大なサウンド・ワールドに引き込んでくれる。続く『Can't Let Go』もスケールが大きな一曲であり、たっぷりと聴かせてくれる。続いて、大ヒット曲である『After The Love Has Gone』が登場するが、この曲は彼らの放ったラブ・ソングとしては大傑作である。1979年のBillboard年間シングル・チャートでは38位、レギュラー・チャートでは最高位2位を記録していて、とても優しいコーラスが魅力的な一曲である。続いては『Let Your Feelings Show』が颯爽と登場するが、とても聴きやすい一曲である。

これに続くのが『Boogie Wonderland』であり、この曲は1979年のBillboard年間シングル・チャートでは57位、レギュラー・チャートでは最高位6位を記録している。『After …』はラブ・ソングの傑作であるが、こちらはダンス・ミュージックの傑作であり、リズミカルであり、しかもソウルフルなブラック・ミュージックと、テンポが良く聴きやすいポップ・ミュージックが見事に融合している。これに続くのが『Star』であり、前曲のテンポの良さを受け継ぎ、更には神秘的な世界へと連れて行ってくれる。更に、楽しいサウンドは続き、『Wait』がこれに続いて登場し、更に『Rock That!』『You And I』へと、大きなスケール感を伴って続く。まさにEW & Fという雄大な雰囲気を持つバンド名と同様に、有罪名サウンドが最後まで続いている。

本アルバムは、世の中がディスコ・ブームの真っ直中に、来るべき新たな時代である'80'sを見据えて新たなサウンドを示したものであり、ブラック・ミュージック、コンテンポラリー・ミュージック、ダンス系ポップ・ミュージックが見事に融合し、'80's前半で大きなヒットを連発したブラック・ミュージック・シーンに多大な影響を与えることになり、そのブラック・パワーの先陣を切る形になった。尚、以前のEW & Fのファンからは、あまりにもポップに染まりすぎている、ということで嫌われているが、新しい時代である'80'sを前にして、その'80'sに通用する新しいサウンドを奏でるように彼らが進化をしたものであり、時代に追従するのではなく、時代を切り開いていこうとしたものである。彼らのグルーブをたっぷりと堪能しましょう!

 

I Am

I Am

  • アーティスト: Earth Wind & Fire
  • 出版社/メーカー: Columbia
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD

↓現在は、3曲のボーナス・トラックが入ったものもリリースされています。

I Am

I Am

  • アーティスト: Wind & Fire Earth
  • 出版社/メーカー: Columbia
  • 発売日: 2004/02/24
  • メディア: CD


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EAGLES『HOTEL CALIFORNIA』 [音楽(洋楽)]

表題のアルバムは1976年に発表されたベストセラー・アルバムであり、音楽史に残る大傑作アルバムである。彼らのアルバムとしては5枚目であり、また、ジョー・ウォルシュ加入後の最初のアルバムである。当然の如く、全米No.1に輝き、1977年のBillboard年間アルバム・チャートでも4位に輝いている。チャートの方で面白いのは、レギュラー・チャートでは本アルバムは1週間だけNo.1の座に就き、翌週はそれを明け渡し、また1週だけ1位に返り咲き、翌週はまた明け渡し、更にもう1回、同じことを繰り返し、4度目のNo.1の座は5週間守り、通算で8週間No.1の座にいたという動きをしている。もしも、この期間、ずっと1位であれば、18週間ということになるのだが、これだけの期間、1位の座に絡んでいたというのもまた凄いことである。

本アルバムのサウンドについては、至る所で数多く語られており、「ロック史に残る名盤」として不滅の名盤としてその名前を刻まれているので、この場で改めてとやかく言うつもりはない。とにかく、'70'sのウエスト・コースト・ロックの頂点がここにある。じっくりと腰を落ち着けて、たっぷりと聴くだけである。

まずは、彼らの代表曲である『Hotel California』でスタートする。この曲は1977年のBillboard年間シングル・チャートでは19位にランクインしているが、この位置にいるというのはちょっと意外な感じもするが、レギュラー・チャートでは1週間だけ1位であったこと、また当時は1位が次々と入れ替わり、1977年の1年間53週(この年はちょうど53週あった年である。)でのべ31曲(内2曲はNo.1に返り咲いている)のNo.1ソングが誕生しており、また、1曲(DEBBY BOONの「You Light Up My Life」)が10週間1位に君臨したということで、とんでもない時期でもあったのである。→チャートの成績がその曲の内容を決めるものではないものの、歴史に残る名曲というのは意外とチャートの成績は高くない、ということを知る例の一つである。

続いては、これも全米No.1ヒットとなった『New Kid In Town』が続く。(ちなみに、この曲も1位を獲得したのは1週間だけであり、1977年のBillboard年間シングル・チャートでは59位にランクインされている。)この最初の2曲は、彼らのベスト盤でもたいていはこの順番で収録されているため、いつの間にかこの2曲は続けて聴くものという印象ができあがっているのだが、前者はスケールの大きい哀愁のメロディのロック・サウンド、後者はアコースティック系の優しいサウンドということで、全く異なる世界観を持つ曲であるが、どちらも彼らの代表曲である。続いては『Life In The Fast Lane』が雰囲気を一変させるロック・サウンドを運んでくるが、続く『Wasted Time』はスローなテンポのバラード・ナンバーで、じっくりと聴かせてくれることになる。そして『Wasted Time(Reprise)』がその余韻を持たせて形でそっと響く。(このドラマ性もまた素晴らしいところである。)

続いては『Victim Of Love』のパワフルなサウンドがスケール感大きく届いてきて、力強さを感じる。続く『Pretty Maids All In A Row』は優しい一曲であって、じっくりと聴かせてくれる。こういう曲もまた彼らの魅力の一つであり、メロディアスな所は彼らの特徴でもある。続く『Try And Love Again』もたっふりと聴かせてくれる一曲であり、ラストを飾る『Last Resort』へと美しい旋律で繋がり、たっぷりと聴かせてくれる。ということで、名曲で幕を開けた本アルバムは優しく綺麗なメロディに包まれて幕を閉じることになる。

EAGLESと言えば『Hotel California』と誰もが言うが、その名曲が収録されているオリジナル・アルバムは、その一曲の名曲だけではなく、いずれの曲も素晴らしいものであり、「名曲名曲を呼び、名盤を構築している」ということになっている。たっぷりと聴き込んで、'70'sのウエスト・コースト・サウンドを聴き込みましょう。尚、本アルバムは、EAGLESの何らかのベスト盤をお持ちの方であれば手元に揃えておかなければならないものである。また、アメリカの音楽を一切聴かないという方は別として、英米その他を問わずロックを聴く方、または英語の曲を聴く方であれば、聴いておかなければならないアルバムである。特に、'70'sサウンドや、年代に関係なくウエスト・コースト・サウンドを聴くという方であれば、聴いていなければ「何をしているの?」と責められても仕方がないアルバムである。じっくりと聴きましょう!

 

Hotel California

Hotel California

  • アーティスト: Eagles
  • 出版社/メーカー: WEA International
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD

↓本アルバムのような歴史的名盤はDVD-AUDIO でもリリースされています。

Hotel California

Hotel California

  • アーティスト: Eagles
  • 出版社/メーカー: Elektra/Asylum
  • 発売日: 2001/12/11
  • メディア: DVD Audio


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